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これから考えていきたいことがようやく見えてきました。
まず、6月29日(水)のレビューで発表した研究内容です。

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《 植物を利用した遊び道具の研究 ― 自然と関わるための手工玩具のデザイン 》


1.研究概要
本研究では、子ども達に自然と触れ合うことの楽しさや
その美しさへの気づきを与えることで、
環境に対する豊かな感受性や見識を持たせることを目的とする。
そして、単に正確な知識を獲得することのみを目的とするのではなく、
環境の中でそれぞれがある働きをしていることについて実感できるよう、
自らの遊びを考え、作るという行為を通じ、
環境にかかわる積極的な態度や創意工夫の能力を
向上させることのできる手工玩具(※)の製作を行なう。

(※)手工玩具:筆者の造語。“手先を使ってする工芸(大辞泉)”という意味をもつ「手工」をするための玩具を意味する。


2.研究背景
遊びは子どもの成長の過程において
極めて重要であるということは周知の事実であり、
その教育的価値は自立性、社会性、創造性を高め、
身体的巧緻性や情操を育てることにつながるとも言われている。
幼稚園教育要領(平成20年3月改訂)において、
以下の5領域が幼稚園教育のねらいとして定められている。

「健康」領域:心身の健康に関する
―健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。

「人間関係」領域:人とのかかわりに関する
―他の人々と親しみ,支え合って生活するために,
 自立心を育て,人とかかわる力を養う。

「環境」領域:身近な環境とのかかわりに関する
―周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,
 それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。

「言葉」領域:言葉の獲得に関する
―経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,
 相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,
 言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

「表現」領域:感性と表現に関する
―感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,
 豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。


また、今回テーマとしている「植物を利用した遊び」を通して
得られる効果として、予想されるものは次の通りである。


①身近なもので作る・遊ぶ
―玩具を作る際に道具を使うことによって、
 適切な道具の使い方も覚えることができる。
 また、自ら遊ぶための素材を探すことで、創造力を養うことができる。
②自然に関わりながら遊ぶ
―その季節にあった植物を選び、遊びの対象とするため、
 四季のうつろいを感じることができる。
③諸感覚を使う
―植物の質感、香り、音などを感じることができる。
 また、手や指先を使って遊んだりものを作ることで、
 細やかな指先の訓練ができる。
④他人と共に遊ぶ
―道具の使い方を先生や親から学んだり、友人と協力して
 玩具の制作を行なうことで、コミュニケーション能力を高めることができる。


3.関連研究/考察
(1)植物遊びについて
―(中略)―
ここから分かるように、他の遊びに比べて「創作遊び」では
植物の使用部位に様々なバリエーションがある。
どの植物のどこの部位が、自分の作りたい玩具もしくは
作品に適しているのかを自ら考えることが「創作遊び」では求められる。
また、紙や糸などの人工物を使用しているものも「創作遊び」が最も多く、
「勝負をする遊び」では見受けられなかった。
これは、その植物で遊ぶ時間に関係していると考えられる。
つまり、植物に深く関わらせるために
道具を用いることが有効であると推測される。


(2)『makedo』:designed by Paul Justin (Australia)
前回玩具事例として挙げた『makedo』の特徴を以下に挙げる。
http://www.makedo.jp/index.html


・ストッパーの中心の穴に、ジョイントの先を差し込むことで、
 モノ同士を繋げることができる。
・取り外す際は、ストッパーを横から摘んでジョイントから引き抜く。
・簡単に取り外しが可能なため、何度でも使用できる。
・ヒンジは30度ごとに動くモードと、
 決まった角度で固定するモードを切り替えて使うことができる。


このように、『makedo』がユーザーへ提供しているのは
あくまで「ツール」と「道具」のみであり、
玩具や作品を構成する為の素材は自ら探さなければならない。
しかし、これは欲しい形の素材が無ければ、
自分で作ること可能ということでもあり、つまり形を自由に選び、
自分だけの玩具を作ることができるということでもある。


4.今後の計画
前記(2)で挙げた『makedo』のように、自ら素材を集めることで
それに対しての理解を深めることができる、
植物で遊ぶための道具やパーツの制作を行なっていきたい。
そしてそれにより、子どもが自然と深く関わることができるよう
サポートをしたいと考えている。