061
以前、普段の生活の中にあるものを
必然的に光を通すもの、偶然光を通すものの2つに
グループ分けをしてみました。
その中の、偶然光をとおすものとして、「うちわ」を挙げましたが、
こんな一風変わった「うちわ」を教えていただきました。
これは、「水うちわ」というものだそうです。
雁皮紙とよばれる薄い和紙を骨組みに貼りつけ、
その上から天然ニスを塗ることにより、紙が透きとおり、
更に撥水性を持つようになるようです。
透明感のある見た目や、水をつけてうちわを扇ぎ、
そこで発生する気化熱によって涼とるという点から、
「水うちわ」と呼ばれていました。
*ちなみに、これは「岐阜うちわ」のひとつで、
他にも漆を塗って仕上げてある「塗りうちわ」や、
柿渋が塗ってある「渋うちわ」というものがあるそうです。
-
- -
紙にコーティング剤を塗ることで透明感を出す、というのは
私が現在行なっている紙作りと同じ方法です。
前回から私は「楮」から作られている「典具帖」を使用していますが、
「水うちわ」には「雁皮紙」が使われています。
●楮(こうぞ)紙
―カジノキとヒメコウゾを人工交配したクワ科の落葉低木。
高さは約3mに達する。栽培が容易で大量に収穫できるため、最も多く用いられている。
繊維は10〜15mmと長め。強靭で絡みやすく、紙に非常に適している。
●雁皮(がんぴ)紙
―ジンチョウゲ科の落葉低木。西日本の山地に自生。高さは約2m。
繊維は5mm前後。半透明で光沢があるため、紙面は平滑になりつやがでる。
濡れても伸縮性が少なく丈夫。
楮紙のほうが柔らかいものが多く扱いやすく、
雁皮紙はパリパリとした手触りのものが多いようです。
ということは、紙の特性である切る折るなどの加工のしやすさは、
雁皮紙よりも楮紙のほうが上なのでしょうか。
確かに、雁皮紙は古くは斐紙(ひし)と呼ばれ、
樹皮が強い香りを放つところから、虫害の少ない紙と言われ、
長期の保存が必要な記録用紙に多く用いられていたようですし、
「水うちわ」だって、紙は真っ直ぐな状態のまま骨組みに貼られています。
なるほど。ますます奥が深いです。
昔ながらの職人技と似たようなことをやっているとは
思ってもいなかったのでとても驚きました。
(単に勉強不足なだけですが...)
↑クリックお願いします!!