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先日、子供向けワークショップの見学をさせていただきました。
私が参加した回は、「色」をテーマとした未就学児向けのものでした。
見学を通しての気づきをいくつか挙げます。

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●「このワークショップでしかできない」という付加価値
(1)人との関わり
自分の世界で黙々とやるのは自宅でもできるはず。
周りと話したり他の作品を見て刺激を受けるというのは
友人と物事に取り組んでいるからできること。
ただ、これも幼稚園や保育所で経験が可能。
ということは、ワークショップは友人でも先生でもない人との
関わりの場という役割を担うことも必要なのかもしれない。
(ex.保護者、自分とは違うバックグラウンドを持つ人、初対面の人...)


(2)モノとの関わり
用途や考え方を限定しない、モノとテーマの結びつけ方として、
・一つのテーマに対して色々なモノを用いる
・色々なテーマに対して一つ(もしくは少し)のモノを用いる
という2つのパターンがあるのではないかと思う。
どちらのパターンにおいても、モノに対して様々な視点を持つことが必要。
その新たな視点に気づく為には、一人で思考、実践、検討を行なうのではなく、
周囲の環境や人の行為などを見て自分の中に落とし込むことが重要なのでは。
また、いつもと異なる体の部位でモノと関わることでも
新たな気づきを得られるのかもしれない。
(ex.足で粘土遊び、手で匂いを感じる...)


●ゴールの設定の仕方
確かに私も子ども達に「考える」という行為をさせたい。
だからといって、ゴール設定があまりに大雑把だと、
逆に思考範囲を狭めてしまうというか、
そもそもどうやって考えたらいいのか分からず、
手や思考が止まってしまう子どもが多いように感じた。
これは大人であってもそうだと思う。
だから、例えば子ども達自身に、
赤青黄だけで様々な色を作らせたいと考えたとき、
「好きな色を作ってみよう!」と投げかけるのではなく、
初めは「紫色を作る」などという明確なゴールを与えた方が良さそう。
もしくは、「ぶどうの実を作る」というように、
まずは何かしらの枠を与えるべき。
何もないところからより、土台があったほうが思考は広がるのでは。

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今回最も勉強になったのは、「枠組みによる思考の拡大」です。
枠組みというより設定かな。制限?
子ども達に何をさせたいか、という明確な目標のもと、
それを分かりやすい形で与えるのではなく、
その目標に少しでも近づくことができるような
プロセスや道筋を提供することが必要なのかもしれません。